特長
耐食性・耐摩耗性・寸法制度・ハンダ付け性などにすぐれた代表的な機能めっきです。
▲電子制御によるめっき液管理装置を備えた全自動式無電解ニッケルめっき装置
無電解ニッケルめっきは、外部電源を用いない化学還元法により、複雑な形状の製品にも耐食性のよいめっきを均一な膜厚で施すことが出来るため、特に高精度の膜厚管理を要求される部品に適した表面処理です。また、無電解ニッケルめっきは皮膜硬度が析出状態で約550Hv、熱処理(350℃×1時間)をすることにより約850Hvまで硬化するため、耐摩耗性を求める部品にも多く使用されています。 当社では、電子制御方式によるめっき液自動管理装置を導入し、無電解ニッケルめっき液のサンプリングから分析・補給に至るまでをコンピュータで制御し、めっき液の連続使用(0~6MTO)において、要求膜厚に対して常に±10%以内の 精度の高い膜厚管理を実現しています 。 また、標準的な中高リン(P=10〜12wt%)タイプの無電解ニッケルめっきの他 に、低リン(P=2〜3wt%)タイプや、フッ素樹脂(PTFE)を分散・共析させた 「フッ素潤滑めっき」、「黒色無電解ニッケルめっき」など豊富なバリエーショ ンを用意しております。
仕様・特性
特性 | 中高リン浴タイプ(Ni−P) | 低リン浴タイプ | |
---|---|---|---|
A仕様 注1 | B仕様 注1 | ||
Ni | 87.5〜88.5wt% | 88.5〜89.5wt% | 97〜98wt% |
P | 11.5〜12.5wt% | 10.5〜11.5wt% | 2〜3wt% |
密度(析出状態) | 7.6g/cm3 | 7.7g/cm3 | 8.7 g/cm3 |
硬度(析出状態) | 約510HV | 約530HV | 約700HV |
硬度(熱処理後)注2 | 約800HV | 約850HV | 約850HV |
磁性 | 非磁性(析出状態) | 非磁性(析出状態) | 磁性 |
外観光沢 | 半光沢〜無光沢 | 半光沢 | 半光沢 |
注1:A仕様、B仕様は当社内における仕様です。基本的な物性はほとんど変わりませんが、用途によってはお勧めする仕様が異なる場合があります。詳しくは当社製造部までご相談ください。
注2:中高リン浴は350℃×1時間、低リン浴は300℃×1時間の際のデータです。
用途・応用例
応用例 | 用途 |
---|---|
半導体製造装置・液晶製造装置・HDD | 耐食性、耐摩耗性、防汚性、膜均一性、非磁性 |
各種電気部品、電子部品 | はんだ性、導電性、耐食性、耐摩耗性、非磁性 |
自動車部品、輸送機器部品 | 耐食性、耐摩耗性、加飾性 |
バルブ、配管部品 | 耐食性、耐摩耗性、膜均一性、防汚性、非磁性 |
光学部品、精密機械部品 | 耐食性、耐摩耗性、膜均一性、防汚性 |
金型部品 | 耐摩耗性、膜均一性 |
※鉄、銅合金などはもちろん、ステンレス鋼、アルミ合金、アルミダイカストへもめっき可能です!
対応可能なめっき工法
- ・バレル
- ・ラック
各種お問い合わせ・ご相談
お電話でのお問い合わせ
☎ 0266-23-4848
電話受付時間:8:00~18:00
めっきに関するQ&A
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Q
電解めっきと無電解めっきの違いは何ですか??
・ニッケルめっき ・無電解ニッケルめっき ・無電解金めっき -
Aめっき皮膜を生成するのに、めっき液中で製品を陰極(−)にして電気分解反応によって行うものを電解めっき(電気めっき)といいます。無電解めっきとは電気分解反応を介さずに化学反応によってめっき皮膜を生成します。電解めっきと無電解めっきの違いで最もポピュラーなのは、電解めっきは電流分布のバラツキにより膜厚にバラツキが生じるのに対して、無電解めっきは一様な反応で生成するので膜厚のバラツキがきわめて少ないという点です。
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Q
アルミにめっきをすることは可能ですか?
・その他 ・フッ素潤滑めっき ・無電解ニッケルめっき ・硬質クロムめっき -
Aはい、可能です。
アルミにめっきをするための前処理は「亜鉛置換法」といって亜鉛イオンが含まれる水溶液に製品を浸漬して、表面に薄い亜鉛の皮膜を化学的に生成し、その後目的とするめっきを施します。これは鉄や銅などへの一般的なめっき前処理とは全く異なる方法なので、アルミ以外の金属へは適用できません。従って、めっきをするアルミ製品には他の金属が複合的に含まれていないということが条件になります。
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Q
電解めっきと無電解めっきの違いは何ですか??
・ステンレスの表面処理 ・フッ素潤滑めっき ・無電解ニッケルめっき -
Aはい、可能です。
ただし、ステンレスにはクロムが含まれており、表面は常に不動態化皮膜で覆われているため、密着性の良いめっきをするにはこの不動態化皮膜を除去して密着性の高い下地めっきを施す必要があります。そのために一般的に「ウッド浴」と呼ばれる還元性の高いニッケルめっきを行います。また、ひとくちにステンレスと言っても様々なグレードがあるので、素材に応じた適切な前処理を行うことがきわめて重要となります。